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2019年2月20日(水曜日)

2月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時55分37秒

 私の弟が70才で裁判官を退官し、東京近郊で弁護士になった。

いろいろわからないことがある度に、私に電話してくる。私の事務所で使用している委任契約書を始め、種々の書類のひな型を送付してやったが、依頼者との関係でどうしたらよいのか戸惑うことが多いようだ。
 例えば、あまり証拠価値がないと思われる資料を「証拠として提出してほしい」、「この人もこの人も証人として尋問申請してほしい」、「これ以上ないとは思うが、もっと夫の財産調査をしてほしい」等々。

 弟は、今まで裁判官だったから、出された資料や主張されている事実に基づいて、法律的に判断して判決を出すのが仕事で、直接事件の当事者と接触する機会は少なかったかもしれない。

 しかし、弁護士というのは、まず、依頼者の話をよく聞いて、何が不満なのか、何がしたいのかを把握し、その後に訴状や申請書を書いて出すのだ。
 裁判官から見たら、「こんな無駄な証拠を出して」とか無理な主張だと思われるかもしれないが、依頼者本人の満足度も考えなければならない。依頼者本人としては、あれもこれも提出して、その結果敗訴したなら仕方がないと思っても、「あれを主張してくれたなら」、「これも提出してくれたなら」と思うと、いつまでも不満が残るものなのだ。そこを裁判官は、理解できないのかもしれない。

 裁判官は、当事者(原・被告)に片寄らず、中立の立場で判断しなければならないが、弁護士は、まず依頼者の立場に立つという点が根本的に違うのだ。

それがわからないと、良い弁護士にはなれない。


2019年2月10日(日曜日)

2月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時52分18秒

 クリスマスや暮れ・正月など、時々、我が家に子どもらが孫を連れて集まると、総勢11人となる。

 孫たちの成長をみるのが楽しい。

 一番下の女の孫○子は5才。今までは母親にしがみついて、ぐずったりろくに物も食べなかったり、わがままを言ったりしていたが、いつの間にか大人びて、お気に入りのエプロンをつけて食器運びや片付けの手伝いをするようになった。エプロンをはずして「お片付けの時間は終了です」と声高らかに宣言するのもかわいい。また、○子は、中学3年生の従兄弟が大好きで、彼がソファでテレビを見ていると、しなを作ってすり寄っていって、ピタっとくっいて一緒にテレビを見ている。

 その父親(つまり私の息子)との会話も面白い。
  ○子「お母さんが怒っている。どうしたらいい?」
  父親「それは○子が、悪いことをしたからでしょう」
  ○子「そうなの、さわっちゃダメと言われていたのに、飾り付けにさわって壊してしまったの」
  父親「じゃ、○子が謝らなくちゃ」
  ○子「でもさわりたかったの。謝りたくないの。お父さん代わりに謝ってくれる?」

 私は、子ども3人(子・丑・寅年生まれ)を育てていた時期、2年間はドイツにいて仕事をしていなかったので、十分子育てを楽しめた。楽しんだと言っても、常にいたずらをしたり、散らかしたりする子どもにはイラついて叱っていた。
 それを夫は、「散らかすのが子どもの仕事なんだ。何もしないで部屋でじっとしている子どもだったら、かえって心配だろう」と私を諭していた。また、ある時、夫が、かがんでよちよち歩きをしているので、「何をしているの」と聞くと、子どもの目線では、周囲がどのように見えているのか体験しているのだと言う。私より夫の方が子育てに向いているなと感心した。

 知人の裁判官夫婦に子どもが生まれた時、夫が、1年間の育休を取った。彼は、子育てが楽しくて、毎日新しいことの発見だと感激している。

 そうなのだ。男性も育児すべし。そうすると、親子も夫婦も円満、離婚問題など起こらないと思う。


2019年1月20日(日曜日)

1月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時49分55秒

 ひと頃前までは 相談者は、たいてい30代から50代だった。

 しかし、この頃は、相談者の8割が高齢者ではないかと思うようになった。私も年を取ったからという訳ではなく、それだけ高齢者の多い社会になったということだ。しかも、高齢者の方の多くは、耳が遠くなり、記憶力も落ちている状態なので、何回も同じことを説明しなければならない。相談内容の話が、回りくどくて大事なことを聞き取るのに時間がかかる。中には、怒りっぽくて、こちらの言った言葉の端々をとらえて、くってかかられることも度々ある。

 これからは、相談者・依頼者の年齢に関わらず、私も、対策を考えないといけない。

 以前は、相談に対しての説明を書いて、相談者に渡しただけだったが、コピーを取って自分の手許にも残しておくようにした。そうしないと、後でそんなことは聞いていないとか、違った内容を説明されたと、もめる虞があるからだ。

 特に、お金を受け取る時は、注意が必要で、着手金なのか、預り費用なのか説明するだけでなく、委任契約書に明記し、さらに、お年を召した方には、ご本人の了解を得て、子どもや親族に電話して、本人が弁護士に依頼したい旨の意思を伝え、同意をもらうようにしている。それでも、事件を着手した途中で、「やはり訴えを取り下げてくれ」とか、「(私に対する)委任を解除したい」等言われる場合があるので、その時も、きちんと私に対する要望・依頼を文書にしてもらうようにしている。

 また、依頼内容の進捗状況について、文書や口頭で報告するだけでなく、特に、裁判や調停においては、大事な期日には同席してもらうことが必要だと思い、依頼者にもそのように説明し、期日に同席してもらっている。


2019年1月10日(木曜日)

1月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時47分41秒

 一日、法律相談の当番だった。いろいろな人の相談を聞いていると、いかに世の中に悪い人がたくさんいるかよくわかる。

 A子は、一週間旅行に行く間に、友人B美がA子の留守中飼いネコに餌をあげに来てくれると言うので、ありがたいと思って頼んだ。A子が帰宅した後、信販会社からA子が買った覚えのない化粧品などの請求書約30万円が送付されて来たので、不審に思ってB美に問いただしたところ「ごめんなさい。部屋の中にクレジットカードが置いてあったので、つい誘惑に負けて、そのカードを使って買い物をしてしまった。毎月1万円ずつ返すから許して」と言われた。
 しかし、B美からの返済は、2ヶ月で滞ってしまった。どうしようという相談。

 C男は、久しぶりに小学校の時の同級生D太郎に会って、飲みながら話をするうち、「今、境界争いで困っているんだ」とD太郎に打ち明けたところ、「オレの知っている弁護士を紹介しよう。30万円で安くやってくれるよ」と言うので、後日D太郎に30万円を預けたところ、そのまま彼と連絡が取れなくなってしまった。
 どうしようという相談。

 E子は、自転車で転んで膝を痛めてうずくまっていたところを通りかがりの男性に、「大丈夫ですか、近くで薬を買って来てあげましょう」と声を掛けられ、その男性に自転車を貸したら、そのまま乗り逃げされてしまった。警察に被害届を出したいが、その男性の名前も住所もわからない。
 どうしようという相談。

 いずれの相談も、親切を装って相談者を欺している。しかも、その金額は30万円位で、わざわざ訴える手間暇・費用を考えると、泣き寝入りをしてしまいそうなケースばかりだ。

 人をみたら泥棒と思え、とは言いたくはないが、ちょっとした詐欺の被害に遭わないようにするには、自分自身で警戒を怠らないようにするしかないのが現状だ。


2018年12月20日(木曜日)

12月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時44分45秒

 C子の夫の浮気がバレた。C子が、夫を責めると、夫は反省し、「もう愛人とは手を切る」、「お詫びに自分名義の300万円の定期預金をC子名義に変更する」というので、C子は離婚を思い止まった。

 しばらくして、C子が、私の事務所に相談に来た。夫から離婚したいと言われているが、C子は離婚したくないという。

 C子が、私に相談しているのを知って、夫から私に手紙が来た。なぜ離婚したいかという心情を切々と訴えている。それによると、C子は、事ある毎に以前の浮気を持ち出して嫌みを言う。自分の行動に不審を持って、いちいちチェックする。毎月の小遣いも減らされた。こんな生活には耐えられないと言う。

 私は、C子を事務所に呼んで、夫の気持ちを伝え、以前の浮気のことで夫を責めたりせず、もっと夫に優しく接するようにと諭したが、C子は、それができるだろうか。また、たとえC子ができないとしても、夫からの離婚請求は認められるだろうか。

 首をかしげざるを得ない。


2018年12月10日(月曜日)

12月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時43分28秒

A子の夫は、会社の社長で財力がある。その夫が部下の女性と浮気していたことが発覚し、A子は、部下の女性に慰藉料を請求することにした。A子から、その女性に対し、300万円払えという文書を送りつけると、その女性はすぐ指定した口座に300万円を振り込んできた。

 しかし、その金が夫から出ていることをA子は知っている。A子の夫は、これまでも度々浮気をし、A子は、それに苛立ちを覚えるが、夫は、全く反省しない。
 それなら、A子は、離婚を考えているかというとそうではない。

 A子は、今の経済的に安定した暮らしを捨てたくはない。せめて浮気相手の女性から直接金を取りたいと思い、私の事務所に相談に来たのだったが、仮に女性相手に訴を起こしたとしても、女性は、出廷することなく請求金額を全額支払えば、訴を取り下げざるを得ない。女性が自分で懐を痛めて払うのか、銀行または親から借りるのか、パトロンに出してもらうのか、そんなことは関係ないのである。

 A子は、いつまでも悶々としている。

 B子も、夫が不貞をはたらいていることを知り、夫と離婚して、夫と愛人に慰藉料を請求することにした。不貞は、夫と愛人の共同不法行為である。

 「(夫と愛人は)連帯して300万円払え」という訴を出したところ、これまた夫が、300万円を振り込んできた。

 この場合、夫は愛人の分まで払ったのだから、法律的には求償といって、夫から愛人に、半分の150万円を請求できるはずだが、求償をするかしないかは夫の自由である。

 本当に払わせたい相手に払わせる、というのは案外難しいことなのである。


2018年11月20日(火曜日)

11月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時41分42秒

 私は、信心深くないし、特定の宗教も持っていないので、自分が死んだ後、遺骨は海にまくでも骨壺に入れて放っておくでもどうでもよい。しかし、私の夫は、広島の人間で浄土真宗、結構信心を持っている。先日の台風で広島の実家の先祖の墓地が浸蝕されそうになったので、自分の墓地に墓を移すことを考えている。そのために、本家と話し合いをつけて、お坊さんにお経をあげてもらって祖父母・親のお骨を分骨してもらうため、何度も広島に行ったり、墓移設のため、業者と話し合ったりしている。私は、その熱意に感心するばかりである。

 夫は、私より長生きするつもりでいるので、私が死んだら自宅の一角を墓地に地目変更して、そこに私の骨を埋めようと考えていたが、宅地を簡単には墓地に変更できないと分かり、広島に墓地を準備した。最近では、遺骨を石に加工する業者を探して来て、「(私の)遺骨は、石のキーホルダーかタイピンにして、肌身離さず持っているからね」と言っている(ノロケてしまってごめんなさい)。

 事件でも、度々お骨の話が出てくる。死亡した人が予め遺言で祭祀の承継者を指定しておけば、指定された人が葬儀を執り行い、先祖の墓に埋骨して、以後の仏事も執り行えばよいのだが、予めの指定がない場合、よく争いになる。

 A子の母は、晩年クリスチャンになって洗礼を受けた。それ故、A子は、母親のお別れ会は教会で執り行い、樹木葬にしたいと考えている。しかし、A子の兄は、父と共に先祖代々の墓に入れたいと言って、未だにもめている。

 B子は、姉が亡くなった後、姉が夫と不仲だったことを考え、姉の遺骨をその夫の先祖の墓に入れるのは本望ではないだろうと思い、姉の骨を自分に引き渡してほしいと姉の夫に頼んだ。しかし、姉の夫からは、「分骨ならしても良い」と言われ、分骨は魂を引き裂くようで嫌だから全部渡してほしいと、B子は頑張っている。

 配偶者も子どももいない人から、自分の死後の墓守の相談を受けることもある。

 やはり、魂とか死後の世界というのを大切に考える人も、まだまだたくさんいるのだなぁと思うのである。


2018年11月10日(土曜日)

11月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 10時40分17秒

 「弁護士を雇う」という言い方をする人がよくいる。

 先日は、家庭裁判所の調停委員までも、相手方本人に「弁護士を雇ったらどうですか」等と言うので、思わず私は、「弁護士は雇用ではなくて、委任です」と言ってしまった。

 雇用と委任は、どこが違うのか。

 雇用も委任も労務の給付を目的とする契約ではあるが、雇用は、労務給付が使用者の指揮命令のもとで行われるのに対し、委任は、労務提供者の一定の裁量のもとで行われるという違いである。

 たとえば、会社の営業マンは雇用、医者や弁護士は委任である。
 とは言っても、区別の曖昧さがある。営業マンに何らの裁量権がない訳ではなく、誰にどのような説明をして、どの商品を勧めるか等裁量の余地があるし、弁護士との委任契約も、誰を相手に、いくらの慰藉料を請求してくれというレベルで捉えると、そのような仕事の完成を目的としている請負契約と似てくる面もある。

 いずれにしても、報酬が発生するので、私は依頼者との間で、きちんと委任契約書を作成し、内容をわかりやすく説明しているつもりである。


2018年10月20日(土曜日)

10月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 14時29分25秒

 B子は、1年前にC太郎にから借りた100万円を毎月10万円ずつ返済して来たが、生活が苦しくなったので、C太郎に頼み込んだところ、「あと30万円残っているところを今後5万円ずつ3回払ってくれれば、それで良い」と言われ、B子は、頑張って15万円を払い、確約書も作成して、これまで支払った85万円を確かに受領したとC太郎も署名した。

 B子は、当然これで済んだと思っていたところ、後日C太郎から「残りの15万円は、いつ払ってくれる?」と催促された。
 B子は、「そんなはずはない。先月支払った時に、もうこれで終わりということだったでしょう」と反論したが、C太郎は、残り15万円について返済猶予はしたが、免除した覚えはないという。

 B子が、確約書を持って、私の事務所に相談に来た。

 確約書には、これで完済したという文言はない。また、清算条項(裁判所や弁護士が和解条項を作成する時、他に何も債権債務関係はない、つまり、これですべて終わり、ということを明記した条項のこと)もない。

 もし、弁護士がついて確約書を作成するなら、当然清算条項を入れるはずだが、そんな知識のないB子は、それに気づかなかったのである。

 このように、何か文書を作成して署名・押印するときは、予め弁護士に相談することをお勧めする。B子も、C太郎に署名をもらう前に、確約書を弁護士に見てもらえば、清算条項をきちんと入れた確約書を作成できたはずである。


2018年10月10日(水曜日)

10月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 14時24分48秒

 A男の妻は、小学校3年生の子どもを連れて家を出て行った。

 妻は、家を出る際、毎週日曜日には子どもに会わせることをA男と約束した。
 しかし、A男の妻は、何のかんのと屁理屈をこねては、子どもに会わせてくれない。A男は、妻には未練はないが、自転車の乗り方を教えたり、キャッチボール等して一緒に遊んだ子どもは、今頃どんなに寂しい思いをしているだろうと気になって仕方がない。

 そこで、A男から依頼を受けた私が、妻へ手紙を出して子どもとの面会を催促した。やっと妻から返事が来て、「来月の第3日曜日の12時から13時までの間、 ファミリーレストランで私(妻)も同席の上、1時間だけ会わせる。但し、3人分の食事代は、A男が負担して下さい」と言って来た。これを聞いたA男は、カンカンだ。「毎週子どもと会わせると約束したはずだ」、「妻も一緒は嫌だ」、「1時間は短すぎる」と文句を言う。

 しかし、子どもは、いま妻のところにいるのだ。つまり、妻は強い立場で、A男は弱い立場なのだ。いくら約束が違うとA男が怒ってみたところで、妻から「それでは会わせません」と言われてしまえば、どうしようもないのだ。

 私がA男の代理人となって妻に対し、面会交流調停の申立をすることにしたが、第1回調停期日は、約1ヶ月後にしか入らず、そこで話し合って、実際子どもに会わせてもらうのは、早くても2ヶ月後になる。それなら、ともかく妻の言いなりになって、来月子どもと会ってみた方がいいでしょうと私は勧めるが、A男は、いま自分が弱い立場にいるということをなかなか理解しようとしない。


2018年9月20日(木曜日)

9月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 14時23分17秒

 調停や裁判和解で離婚や子どもの親権者が決まっても、それで「はい、すべて終わり」という訳にはいかない。できるだけ事後の面倒を避けるために、養育費の支払方法、子どもとの面会など細かいことについても、合意事項を調書に盛り込むようにしているが、物の引渡については、どうしても全部盛り込めない。

・ B郎は、妻が出て行った後に、妻が残して行った物の引き取りを求めているが、妻は、B太郎に処分してくれという。その処分と費用でもめている。

・ C子は、子どものアルバムの引渡を求めているが、夫は拒否している。せめて写真をコピーしたいので、一度アルバムを貸してほしいと言っても、聞き入れてくれない。

・ D助は、出て行った妻がいつまでも家の鍵を返してくれず、いつまた自分が留守中に出入りされるか心配で、合い鍵を返してくれと言っているが、返してくれない。鍵を付け替えるには、お金もかかる。

・ E治は、妻に引き渡した本や書類一切の中に、以前こっそり買ったアダルト雑誌が入っていることに後で気がついた。別れた妻が、これに気がついたら、嫌味の一つも言われそうだ。何とかこっそり取り戻せないだろうか。

等々、相談されても、すぐに名答は思いつかないことが多い。 


2018年9月10日(月曜日)

9月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 14時21分41秒

 元依頼者のA男からは、時々連絡があるが、たいてい良い話ではない。

 「またやってしまいました」という電話。彼は、クレプトマニア(窃盗症)なのだ。

 A男は、自分で店を経営し、十分な収入があるのに、スーパーで洗剤とか下着とか、たいして値段の高くないものを万引きする。その時A男が持参している自分の財布には、一万円札が何枚も入っているのにだ。まさに、病気なのだ。

 A男は、最初に捕まった時は起訴猶予、次に逮捕起訴された時は執行猶予、そして前回逮捕起訴された時は実刑という経過をたどって、半年前に出所したばかりで、「今度こそ懲りた」と言っていたのに。

 以前私は、クレプトマニアを治療する病院の医師の話を聞いたことがあったが、患者に自分のしたこと、反省の気持ち等を作文に書かせ、他の患者の前で発表したり、謝罪文を書いて被害者の所に届ける等というのが治療法の一つだということであった。しかし、どれだけの効果があるのか疑問に思った。少なくとも短期的には完治は望めないだろう。

 日常生活においても、例えば、地下鉄の座席に座っていたところ、目の前に立っていた女性の鞄から財布がはみ出しているのが見えた。次の瞬間、車内が停電になり、2〜3分後には再び点灯したが、停電の間に女性の鞄から財布を盗ろうと思えば可能であるかもしれない。また、駅のトイレに入ったら、一万円札が落ちていた。周囲に誰もいないとしたら、黙って持ち帰っても分からないのではないか。

 このように、誰にとっても、誘惑がたくさんある社会で、理性を失わずに生活するのは結構大変なことなのかもしれない。


2018年8月20日(月曜日)

8月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 15時43分33秒

 法律に関する相談は弁護士に、税金に関する相談は税理士に、というのが一般的だ。
 しかし、法律問題と税金問題が微妙に絡むので、私も最低限の税金の知識は持っていなければならない。

 たとえば、夫婦が離する時に、夫から妻に300万円が支払われることに決まった。この300万円の名目を慰藉料とすれば税金がかからないが、贈与になると贈与税がかかる、とか、子どもに生前贈与したいという場合、毎年110万円ずつだと贈与税はかからないが、4500万円以上をいっぺんで贈与すると、55パーセントの贈与税がかかるとか。

 しかし、もっと複雑な相続、財産分与等となると、私は、いちいち税理士と相談しながら、無駄な税金が取られないように気を遣う。そのために、いつも気軽に相談できる友人の税理士がいるのは、ありがたいことだ。

 裁判や調停等で、不動産の取得が決まった後には、登記手続が必要になることが多い。もちろん、これは本人や弁護士でもできるが、必要書類を揃えたり、登録税の計算をしたり、やっかいなことがたくさんあるので、専ら司法書士を紹介することにしている。私の長女が司法書士であるので、助かっている。


2018年8月10日(金曜日)

8月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 15時42分33秒

 A子の夫は、イタリア人。「君は、この世の花だ、太陽だ。僕は、君なしでは一日たりとも生きられない」という熱烈な言葉でプロポーズされ、結婚した。A子と夫の間に生まれた子ども2人も、今は小学生。

 A子は、「最近夫から離婚しようと言われているが、私は離婚するつもりはない。どうしよう」と私の事務所に相談に来た。

 私が、A子に、「夫は、なぜ離婚したいと言っているの?」と聞くと、「夫から『君はもう昔の君ではない。花でも太陽でもなくなった』と言われて、それが離婚の理由のようです」と言う。さらに、A子は、「確かに、私は、昔より5キロ太りました。シワだって増えたし、聞き分けのない子どもにイラついて怒鳴り声だってあげます。でも、家事も育児もきちんとして、夫にも尽くしているつもりです。夫も、それは認めてくれています。でも、夫は、『そんなことは家政婦でもできる。僕は、いつまでも恋をしていたいのに、今の君は、僕のその要望には応えてくれていない』と言うのです」と涙を流しながら話す。

 このような離婚原因が、イタリアでは認められるのだろうか。

 日本では、まず認められないだろう。


2018年7月20日(金曜日)

7月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 15時06分58秒

 遺産分割調停事件を受任している。

 依頼者は、亡母の長女A子、相手方は、A子の妹。女性2人が相続人なのだから、遺産を半分ずつすればよいではないかと思うかもしれないが、そう簡単にはいかない。

 A子としては、「私が、妹よりたくさん親の面倒をみてきた」、「妹の方が、私より親にかわいがられ、生前洋服を買ってもらったり、食事に連れて行ってもらった」と、一つ一つは取るに足らないことだが、積もり積もって半分ずつ分けるというのは、公平に反するという考えになるのだ。

 さらに、A子の夫は、某大学の民法の元教授。打合せの度に、夫も同席して、A子がたくさん相続すべきだということを滔々と述べる。しまいには、「寄与分について、私が意見書を書きましょう」と言い出した。

 しかし、私は知っている。裁判官は、学者の意見書などというものをあまり重視しない。これが化学的なこと、医学的なことなら、裁判官の専門外のことなので、専門家の意見を聞いておきたいと思うかもしれないが、遺産分割、寄与分等という問題は、まさに家事裁判官の得意とする民法解釈の問題なのだ。

 そもそもA子の夫は、当事者ではないのだ。どうやって、彼を説き伏せようか悩んでいる。


2018年7月10日(火曜日)

7月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 15時05分48秒

 先日仙台市中心部の街角で、弁護士十数名が街宣署名活動を行った。

 安倍政権の元で、憲法9条の改正はさせない、平和憲法を守ろう、というもので、私も参加した。

 日本が海外で戦争をしてこなかった大きな力は、憲法9条の存在が大きい。これに自衛隊の存在をわざわざ書き込む必要がないのではないか、自衛隊は災害救助や国内防衛に尽力していることは国民がよく分かっている。危険な戦闘地域に送り込むことはしたくないという趣旨のことを弁護士が代わる代わるマイクを持って訴え、私たちはビラを配ったり、署名を求めたり、1時間も街角で活動した。

 しかし、街行く人たちの何と関心の薄いことか。たいていスマホを見ながら、あるいはイヤホンをつけたまま私たちを避けて通り過ぎる。特に、若者がそうだ。愕然とした。

 次の日、在日ドイツ大使館のメラー博士の講演を聴いた。

 ヨーロッパで盛んになりつつあるポピュリズム・排他的考えの人々にどう対処するか、という内容であった。ポピュリストの政党を支持する国民は、十数パーセントに過ぎない。あとは明らかに排他的政策を非難する人たちだという内容の話を聴いて、私は質問した。

 「日本では、例えば、集団安保法や働き方改革に賛成か、反対か、国民に意見を聞いても、特に若者の間で、『そんなことはどうでもいい、目先のゲームやスポーツ、恋愛の方に関心がある』という人たちが多いが、ドイツではどうですか」と。

 メラー博士曰く、「ドイツには政治・経済機構というのがあって、多くのボランティアが活躍している。どのような活躍かというと、いろいろな職場、学校、サークルに出向いて、あらゆる層の人たちの意見を聞き、討論する。例えば、シリアからの難民を受け入れた方がよいか、それは、どの位の規模にすべきか等という問題について、いろいろな分野の人々から意見を徴収する。だから全く無関心という人たちは少ない」ということであった。そして、「日本には、そんな機構はありませんね」と言われた。全くそのとおり。


2018年6月20日(水曜日)

6月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 09時24分46秒

 事件を依頼する人は、よく「私は勝てますか?」と聞いてくる。しかし、私は、勝ち負けというのが、ピンと来ない。

 例えば、貸金100万円の返済を請求して提訴したのに、相手が「借りていない」とか「もう返済した」とか反論し、その言い分が認められて、一銭も取れなかったら、これは負けであろう。
 しかし、100万円借りたことは認めるが、1回で支払えないから、毎月5万円ずつ20回払いで和解したという場合は、勝ったことになるのだろうか。しかも、分割金5万円を2回位払ったとことで、相手が行方がわからなくなった等という場合は、勝ったとは言えないだろう。それだったら、50万円におまけして1回で払ってもらった方が良いと考える人もいる。これも、勝ったといえるのだろうか。

 離婚事件でも、離婚と子どもの親権者を請求したのに、離婚が認められなかったという場合は負けであるが、離婚は認められたが、子どもの親権者は認められなかったという場合も、気持ちとしては負けである。

 東日本大震災で児童74人が津波の犠牲になった石巻市立大川小学校の遺族が、石巻市や宮城県に対し損害賠償を求めた事件で、請求額23億円近くについて、控訴審の判決は、14億余円を認めた。これを受けて、県と市では、最高裁判所に上告することを決めたが、遺族側は上告しないという方針だと報道された。遺族としては、学校の事前防災の不備までも認められたのだから、それで十分だ、つまり勝ったという気持ちなのであろう。

 本当に勝ち負けの評価は難しい。


2018年6月10日(日曜日)

6月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 09時23分01秒

 日本尊厳死協会東北支部主催の講演を聴いた。

 講師の一人は、福島県会津の磐梯地域で在宅医療を続ける医師、もう一人は、その医師と一緒に末期患者の話に耳を傾ける臨床仏教師。
 いずれも、「我が家」で十分な医療や介護を受けながら、安らかな最後を迎えるための支援をしている方々だ。
 栄養剤を処方したり、心電図を測定したり、むくみや具合をみて水分補給を指導したり、という医師としての仕事はもちろんのこと、患者や家族の話を聞き、「孫の成人式までは生きていたい」という希望を持つ患者が間に合いそうもない時は、家族と話し合って、孫に成人式の着物を着せて写真を撮って、それを患者に見せて安心させたり、患者が、今後悔し、反省しているという話を枕元で静かに聞いてやったり、託された手紙を知人に渡したり、本当に患者に寄り添って支えている姿に感動した。そして、私自身について、大いに反省した。

 弁護士事務所を訪れる人は、離婚、相続、借金等々悩みを抱えている方々だ。それを私は、時間がないのとせっかちな性格のせいで、十分悩みを聞くことなく、「それであなたはどうしたいの?」とすぐ聞き、関係のない話をし出すと、それを遮り、「大事なのは、これとこれ」と決めてかかる。
 今は、以前ほど事件数も多くなく、時間ができたのであるから、もっと悩める依頼者に寄り添って、話を聞いてあげるべきかなぁと反省した次第である。 


2018年5月20日(日曜日)

5月20日

カテゴリー: - fujitasougou @ 13時08分32秒

 A子は結婚し、夫の転勤に従って九州に行ったが、夫の暴言に耐えられず、1歳の子どもを連れて仙台の実家に戻って来た。もう離婚するしかないと考え、夫に離婚と子どもの親権者・養育費、そして財産分与を請求する手紙を出したところ、夫からの返事は、離婚と親権については同意するが、一切お金は払わないというものであった。

 A子が主張するのは、結婚祝いや出産祝いでもらったお金すべてを夫名義の預金にして合計200万円位あるので、半分の100万円は払って欲しいというもので、私は、ごく当然の権利主張だと思えた。また、養育費も当然請求できるし、養育費の金額は、夫の収入と子どもの年齢からして算定表によると月4万円は下らないので、A子から依頼を受けた私からも、夫に対し、その旨請求する手紙を出した。
 そうしたところ、夫にも弁護士がつき、解決金30万円なら払う、養育費は月1万円なら払うという回答が来た。そんな内容で合意はできないとこちらの請求の正当性を訴えて交渉したが、夫の方は、これ以上払う気はないと強気だ。

 夫の方が強気なのには訳がある。
 当事者同士の話し合いがうまくいかない場合は、家庭裁判所に調停申立をすることになるが、これは基本的に相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立しなければならない。相手方は、それがわかっているから、どうぞ調停を申し立てて下さいと強気なのだ。
 
 A子は、仙台に住んでいるので仙台の弁護士を依頼したい、でも、調停の期日は九州まで行かねばならないことから、その費用と時間をかけるくらいなら不本意ながら夫の申出に従おうと言い出すのを、夫が待っている様子がありありとわかる。だから、なおさらA子は屈したくないのだ。


2018年5月10日(木曜日)

5月10日

カテゴリー: - fujitasougou @ 13時07分10秒

 憲法九条を改正するか否か、改正するとしたらその内容はどうするか。

 この問題は、政治家や憲法学者だけでなく、私たち国民一人一人も考えなければならない。

 というのは、憲法96条1項に「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする」と規定されているからである。国会が、憲法改正の発議をし国民に提案したら、国民はそれを承認するかどうかを決定をすることになる。国民は何をもとに意思決定すればよいのか、それは時の政治家や官僚の意見ではなく、日本国憲法の趣旨、すなわち前文に思いを致すべきであると思う。

 前文は、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」とある。何と崇高な格調高い文章であろうか。

 そんな理想ばかりいっていて、国が滅びたら何もならないではないかという意見をよく聞く。しかし、そもそもどんな国家をイメージしているのか。意見の違いを力で解決し、他を排除して自国の利益だけを優先する国、徴兵制、つまり国民を強制的に兵役につかせることにし、場合によっては特攻隊員として死地に臨まなければならないというような戦前のような国、それでも良いのか。というのが私の反論である。


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